Classiques japonais avec furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans
笹はさからうようにぴんぴん跳ねかえった。薙ぎはらいにかかる鎌の刃を斜め横にすべらした。強靱な野生の笹は、むざんな刃こぼれの損害でむくいてその鎌に抵抗した。到底それは、年若い高倉祐吉などの力に及ぶものではない。六十間を単位にして、それを歩幅ではかった大野順平は、刈りひろげる継ぎ目と何番目かのそれを指示しながら、老人と高倉に向ってはこう云った。
「下るにつれて熊笹どももひどく肥えふとって、これでは見通しも奪われるかと思われる、高いところに目印しが欲しい、一足先に沢に出られて、そちらで火を燃して、狼火がわりに煙をあげることにして下さらぬか」
日なたの傾斜面は直角に陽を受けるかと思われた。隊長大野が云った通り、熊笹のやぶは二人の背丈を埋めて、風はそよとも動かぬのであった。熱気がうず巻いている、――二人は、そのもうもうとした空気のなかを両腕でかき分けて進んだ。
「おーい」と、うしろから木魂して注意して来た、「気をつけろー、猛獣に気をつけろー」
藪をふみ渡る段取りになると、戸田老人はさすがに年の功を積んでいた。彼は、はじきかえす根曲り竹の上を、そのばねの反動に送られるように辷って行った。