Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans

Aozora Bunko

近親には、その後の模様を仔細にわたってしたため、書状を托してやった。飛脚も駅逓もひらけていない土地に来てしまった彼らには、――わけても女どもには――これがはじめての、思いを込めた便りであった。書いても書いても書き足りぬ消息であった。あれこれと憶い浮べる家中の共通な知人には、まんべんなく、「よろしく申して欲しい」とことづけるのである。くどいほどそれを繰りかえしたが、まだ何か云い足りないものがあった。霜柱をけたてて女房らもまた朝はやく、身もだえるように駈けだして来た。旅立つもののあとを追いかけ、彼らの前にとびだして頭を低げた。唇をかんで横に身を避けて瞼をおさえた。

云うべき言葉は何もないのであった。けれども、云って貰いたいことは胸に一ぱい溢れていた。生れて育った郷里のなつかしさががくがくと咽喉につかえた。涙になってこみあげて、泣けたらどんなに楽になるだろう。

しかし、いつまで跟いて行っても同じことではないか。人も云い、自分も知っていた。

もとの家老の妻女が立ちどまって、女房たちを代表して、「それでは――」と挨拶をした。海岸の砂ッ原の路で、彼女らの一かたまりは、号令をかけられたように佇むのだ。