Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans

Aozora Bunko

錨をまく音がごぐんごぐんと響いて甲板が震えていた。機関が喚きだした。がらんがらんと大鐘が鳴った。船員たちのかけ声や、走りまわるざわめきが聞えた。人々はそっと自分の家族のそばにもどって来た。船は揺すぶれて動きだした。窓から射しこむ浪の反射は秋の雲のようにちらちらした。水の上の冷たい空気がどこからかすッと吹きこんだ。彼らは首をすくめた。その寒さを見送るようにした。

これからしばらくの間は、この船のなかで暮さねばならぬのだ。茫洋とした海の上に五六日を暮して、そして、そのトウベツとかいう地に辿り着くというのだ。しかし、まだはじめての旅のものには、それが実感として思い浮んで来なかった。遂に生れた土地を去るという――この何かはかなげな思いが胸を暗くするばかりである。女や子供にとってはすべてが虚ろであった。茫然と居すくんでいた。

船は青い浪を揺きわけて進んでいた。

旅馴れた二三のものだけが、目をつぶって、刻々に遠ざかっている陸地を考えていた。甲板に出て、それを、この眼でもう一度見て置きたいと思う誘惑が、それは、邦夷に最も強いのであった。しかも、最も頑なに抵抗しているのがその邦夷であった。