Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans

Aozora Bunko

切り抜けるだけであった。あたりがほの暗くなったのは、それほどの時間がすでに過ぎたのか、陰鬱な空が垂れこめたのか――多分、そのどちらでもあったろう。やがて樹氷のくだける音は、連続した風音のなかに消えだした。峰づたいに轟と鳴った。低い谷間に向ってもんどり打った。樹々は一斉にはためいて雪をふるい落した。白い雪げむりは掻きまわすように捲きあがった。それは風に殴られて横だおしに頽れた。

それにしても、あのほがらかなひる前の天気が、二三時間隔てて、前触れもなく暴化て来るとは考えられない。これは山峡の気圧によるものであろう。あとはまたけろりとしているあの一時的の旋風であろう。

「もう一呼吸だ」と高倉は叫んだ、「この谷さえぬけたならばこちらのもの」

鋸は鋼鉄の板であった。何故か重ねてすわりよく背中に担うと、それは風を受ける頑固な帆になった。行商人は立って歩くことは出来なかった。彼は手と足と――四肢をつかって背中の帆を伏せながら雪の上を匐っていた。

「ついて来い!」と高倉はまた叫んだ。

すべって起きあがり、転んで這いまわるのだ。山峡にかさこそと降り積った雪は手ごたえなく軽かった。