Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

Lisez 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) de 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 254 caractères · 226 écrans

Aozora Bunko

「そんな人は知らないよ。ねっから記憶がないようだ。」

「記憶がないはずはない。あの人の名前をお前に忘れられたら、大変なことになる……」

蝸牛はこう言って、先刻従弟のなめくじに聞いたことを話して聞かせました。

それは小野道風といった名高い書家が、まだ修業盛りの頃、どうも一向芸が上達しないので、すっかり嫌気がさして、雨の降るなかを、ぶらぶら散歩に出かけました。ふと見ると、途ばたのしだれ柳の下に雨蛙が一匹いて、枝に飛びつこうとしています。幾度か飛んで、幾度か落ちしている末、とうとう骨折のかいがあって、枝に縋りつきました、それを見た道風はすっかり感心しました。

「何事も努力だな。あの蛙がわしにそれを教えてくれたのだ。」

と思った彼は、家に帰ってから夜を日についで、みっちり勉強を重ねました。やがて書道のえらい大家になったという話なのでした。

「何でもその道風とやらは、公卿の次男坊だそうだから、お冠でも着ていたかも知れない。そんな男の記憶はないかしら。」

「ある。ある。やっと思い出した。ずっと以前にそんな男に出あったことがあったっけ。」雨蛙はだしぬけに大きな声で叫びました。