Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
と言って、生血の付いた脇差を渡しました。あんまり驚いて口も利けなかったので、そのまま尺八と一緒に袋へ入れて、しばらく皆んなの相手をして時を過し、そっと脱け出して脇差は江戸橋の下へ投り込み、尺八もよく洗ったつもりですが――」
「何だって、その翌る晩心中する気になったんだ」
と平次。
「お夏が縛られるかも知れないと言って、私のところへ来たので、てっきり、下手人はお夏と思い込み、永代まで行って飛込むつもりでしたが、八五郎親分に止められて――」
「その先は判った」
平次はそこまで聴くと、専次を帰して物思いに沈みます。
「親分、下手人は茂七に決ったじゃありませんか、すぐ手を廻しましょう」
「いや」
平次は首を振ります。
「青物町の親分は、飛んで行きましたよ」
ガラッ八はこの手柄を、久三郎に横取りされるのが心外そうでした。
「放っておけ、――茂七が下手人なら、何だって、もう一本の新しい脇差なんか抜いて、死体のある部屋へ二度目に飛込んだんだ」
「誤魔化しだ、親分、茂七の芝居じゃありませんか」
「いや、自分で殺しておいて、血刀を専次に隠させ、新しいピカピカする脇差を抜いて、もう一度死骸のある部屋へ入るのは、少し細工すぎると思わないか」