Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
これは分別臭い四十男で、主人新六の遊び友達には少し固すぎますが、何となく悧巧そうな男で、平次も一応は疑ってみましたが、間もなく、事件のあった四半刻前、平右衛門町の自宅へ主人の帰宅の先触れに帰り、騒ぎを聞いて、酉刻半頃また竪川へ駆け付けたのだと判って、これは疑いの外に置かれました。
その番頭の平七が、そっと平次に耳打をしたのです。
「旦那を突いたのは鑿じゃございませんか」
「それは判っている、――たぶん川の底から出て来るだろう」
「でも、庵寺の隣と――材木置場との間に、大工道具の置場がありますが――」
「何?」
平次は提灯を持たせてすぐ飛出しました。なるほど、材木置場に通う職人達の便宜のために建てたのでしょう。ほんの二た坪ばかりの物置があって、道具棚の下には、番人が寝泊りの出来るようになっていたのです。
開けて見ると、中は空っぽ。
棚の上の道具箱を覗くと、一番上に置いた鑿が一挺、半ば乾きながらも、下になった方半分は、したたかに濡れているのが見付かったのです。
「これだ」
取上げてみると、刃が脂に曇って、血の痕こそありませんが、人を突いた証拠が立派に揃っております。