Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans
お品は涙ぐましい眼を落して、しばらく声を呑みました。
「それは、さぞお困りだろう、私に出来ることなら、して上げたいが――」
「親分、私は親に隠れて、お願いに伺いました。このまま放っておけば、石原の利助の一代の名折れ、十手捕縄を召上げられないものとも限りません」
「…………」
「日頃は親分との間に、面白くない事もあるように聞かないではありませんが、親分は江戸中で評判の腕利き、それに、人の難儀を黙って見ていらっしゃる性分でないことも存じております。どうぞ、親子を助けると思召して、一と肌脱いでは下さいませんでしょうか、親分、お願いでございます」
お品はいつの間にやら、畳の上へ、水仕事で少し荒れているが、娘らしく光沢のある、美しい手を落して、そっと袖口を瞼に当てました。
若々しいと言っても、御用聞の娘に育って、一度は縁付いたこともあるお品は、こう話をさせると、筋も通り情理も立って、隣の部屋で黙って聞いているガラッ八などよりは、余程性根の確りしたところがあります。
「お品さん、よく判った。実は兄哥にすまないから、遠慮していただけの事で、そんな事に骨惜しみをする俺ではない、何とか角の立たないように、蔭から目鼻を開けて見よう――そう言うと、この平次はひどく器量がいいようだが、決してそんな自惚の沙汰じゃない。