Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

三

「どうだ、八、塩っ辛いだろう」

降りて来たガラッ八を迎えるように、平次はこう言うのでした。

「どうしてそれが?」

「白く塩が溜っているじゃないか、あれが塩っ辛くなきゃア、どうかしているよ」

三

それから三日目。

「親分、大変ッ」

それとはなしに、東西両国を見張らせていたガラッ八が、鉄砲玉のように平次のところへ飛込んで来ました。

「どうした、八、普賢菩薩が笑い出したか」

「そんな事なら驚かねえが、今度は殺しだ」

「何?」

平次はピンと弾き上げられたように坐り直しました。

「両国には相違ねえが、あの小屋からずっと離れた亀沢町の路地に若い男が、殺されているが、困ったことには見知り人がねえ」

「行ってみよう、死骸はまだそのままだろうな」

「検屍が済むまでは、指も差させねえように、町役人に頼んで来ましたよ」

「そいつはいい塩梅だ」

平次とガラッ八はそのまま両国へ――。

人混みを掻き分けて入ると、亀沢町のとある路地に、紅い鹿の子絞の扱帯で首を絞められた若い男が虚空を掴んで死んでいるのでした。

唐桟の素袷、足袋跣足のまま、雪駄を片っぽだけそこに放り出して、少し天眼に歯を喰いしばった死顔の不気味さ、男が好いだけに凄味がきいて、赤い扱帯に、蒼い顔の反映も、なんとなくゾッとさせるものがあります。