Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

勘兵衛殺しの下手人と睨んで、一生懸命証拠の蒐集に浮身をやつしている矢先、肝腎の又六が殺されてしまっては、平次は全く背負投げを喰わされたようなものです。

「自害じゃあるまいね」

「鑿で背後からやられる自害はあるでしょうか、親分」

「…………」

銭形の平次ほどの者も、見事にガラッ八にしてやられました。

「その鑿が、浜町の勘兵衛の仕事場から出た品ですよ、柄には丸に勘の字の焼印が捺してある」

「えッ」

「親分、大きい声じゃ言われないが、世間じゃ勘兵衛の幽霊がやったんだって言ってますぜ」

ガラッ八は少し迷信家らしく脅えた眼を見張りました。

「馬鹿な、そんな事があるものか、幽霊が人を殺す世の中になっちゃ、岡っ引は上がったりだ、行ってみよう」

真っ直ぐに向う両国へ――。

鎖した木戸を開けさして、真昼ながらなんとなく薄暗い小屋の中へ入ると、彫物師の雲龍斎又六は中二階の揚幕の蔭、ちょうど、普賢菩薩を見張るような位置に、仰向けになってこと切れているのでした。

得物は彫物師の使う鋭い鑿、焼印はガラッ八が言う通り、得物が深々と入ったせいか、大した出血ではありませんが、それでもその辺は一面の血飛沫です。