Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

「お関さんにちょいと逢いたいが」

平次は最後の切札を出すより外に工夫はありません。

「親分さん、御用は?」

美しいが、おどおどするお関、その顔を平次はジッと見ました。

「お関、――人間が一人殺されたよ。――この縁談を打ち壊してくれ――と、誰に頼んだ」

「…………」

「言ってくれ、――三千両の大金は、人一人を気違いにする。――早く言ってくれなきゃ、この上とも騒ぎが大きくなるぜ」

平次は、事件の火元をお関と見たのです。これほどの美しい娘が、涙ながらに頼んだとしたら、どんな恐ろしい事が起るか、よく解るような気がしたのです。

「私は何にも存じません、親分さん」

お関の眼の清らかさ。

「それは本当か」

平次の当惑さは一と通りではありません。

「親分、千代松を当ってみましょう」

ガラッ八は口を出しました。

「いや、千代松にこれほどのことは出来ない」

平次は頸を捻っております。

「それじゃ、これだけ聞かしてくれ、――一昨日のあの時刻に、三千両の結納が馬で来るのを知っていたのは誰と誰だ」

「それなら申上げられます、父さんと千代松と」

「それから」

「あとは奉公人達も知りません」

「もしや、お隣の浪人には話さなかったか」