Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans
お寿と別れると、新鳥越の予て見定めておいた路地へ入って、左手にお寿の抜け毛を掴み、右手に持った剃刀で、自分の左の喉をほんの少し掻き切った。――いや、ほんの少し掻き切るつもりだったが、手元が狂ったのと、小唄の師匠で、咽喉笛を避けたのがかえって悪かった。思わず手が滑って、深く切ったのが、あの通り急所だ」
お政は咽喉笛を避けて切ったために、自分の頸動脈を切ってしまったのでした。
「剃刀を庇へ投り上げたのは誰だ」
三輪の万七は最後の切札を叩き付けました。
「自分の喉を切って、すぐお政が投り出した。最初から刃物を捨てるのが大事な仕事の一つと覚悟していたので、深傷にも拘わらず、思わず力が入って庇の上へ投り上げてしまった、最後の一念というものだろう」
誰ももう、何にも言う者はありません。
「仏の前で言うのも何かの功徳だろう。お政は掻き傷を拵えてお寿を縛らせ、一ぺんに人気を落してやりさえすればよかったが、手が滑って死んだのも自業自得だ。――今じゃあの世で後悔しているだろう。仏に代って、俺が懺悔してやる。みんなお政の心得違いからだ、――この殺しには誰も罪はない」
平次はそう言い切ると、棺の前に膝を突いて、香を捻りながら黙祷を捧げました。