Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 244 caractères · 231 écrans
そこには不動尊像は昨晩のまま、前に台を置き、供物の山を積み、灯明をかけ並べて、主人の霊前などとは比較にもならぬほど賑やかに飾り立て、護摩の煙が濛々と狭い部屋に立ちこめているのです。
朝からの講中の人たちの騒ぎや女房の凝りようなどが一と目で判るようで、平次と八五郎は思わず顔を見合せたものです。
「お、宝剣の血はそのままにしてあるのかい」
平次はさすがにギョッとした様子です。尊い仏像の剣に碧血の斑々たるのは、あまりにも冒涜的で、結構な心持にはなれません。
「こいつはまた良い売物になりますぜ親分、――不動様が仏敵を刺し殺したとなると、賽銭がうんと」
「止さないか、八」
平次はその口を塞ぎました。
「でも、親分、ひどく血のついているのは、剣の途中からで、尖端には少しもついていないのは変じゃありませんか。死骸の咽喉の傷は、刃物で突いたんですぜ」
「それに気がつきゃ確かだ。不動様に罪をなすった野郎は今頃はニヤニヤしているかも知れないが。とんだお笑い種だ」
女房がいなくなると、平次はガラッ八の耳にこう囁くのでした。
「そうでしょう、ね、親分。不動様や観音様が人殺しをした日にゃ、うっかり信心詣りもできない」