Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 244 caractères · 231 écrans

Aozora Bunko

二

念入りに締めてあったということです。

四人の声を聴いて、店からも多勢の人が駆けつけました。何よりも人々を驚かしたのは、離屋の二つの部屋が厳重に締められているのに、叶屋重三郎は明らかに人手に掛って殺されており、隣室との境の唐紙は開けられて、不動明王の剣が、もったいなくも碧血に染んでいることだったのです。

木で彫って箔を置いた不動様の剣で人間一人突き殺せるはずもないのですが、箱のように密閉された部屋には、外に兇器というものは一つもなく、人間の隠れる場所などもありません。第一、目ざといのが自慢の重三郎が、床の中に寝たまま喉笛をかき切られているのも不思議です。

時を移さず御用聞千駄木の菊松は飛んで来ました。が、この有様では手の下しようもなく、その間にガラッ八の八五郎が小耳に挟んで検屍前に駆けつけましたが、これとても不動明王に睨みすくめられて、空しく引揚げる始末です。

「なるほどそいつは変っているが、ちょいと当ってみた具合でこいつは臭いな――と思ったことはないのか」

平次はガラッ八の長談義が終るのを待って、こう訊ねました。

「臭い奴だらけですよ。臭くないのは娘のお雛と、下女のお仲と、飯炊きのお三ぐらいのもので――」