Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 139 caractères · 233 écrans
四
平次はうら淋しく仏の前にうずくまる母親に訊きました。
「いえ、それはもう二十年も前のことで、――それも軽い身分でございました。夫に別れて七年になりますが、人様に怨まれる覚えはございません」
そう言われるまでもなく、こんな人柄な母子を、怨んでいる者があろうとも思われません。
「親分、あの菓子屋の方も本郷から小石川中調べましたが、変ったことはありませんよ」
ガラッ八は口を挟みます。
「よしよし、菓子や飴でつなげるのは半日や一と晩だけさ。五人の子供を六日も七日も隠すのに、そんな細工じゃ駄目だ、あれは俺の考えすぎだったよ。ところでお前は権次とかいう男に逢ったのか」
「鋳掛屋の権次でしょう、逢いましたよ」
「案内してくれないか」
「あの野郎は天道様の当るうちは、野天に陣を張って鍋鋳掛をやっているから、どこに居るかわかりゃしません」
「家はどこだ」
「中富坂で、――行ってみましょうか」
「ともかくも当ってみよう」
二人はそこからほんの一と丁場の中富坂まで行ってみました。
四
「何にもない」
鋳掛屋権次の家へ踏込んで、一とわたり家捜しした平次は、さすがに呆れ返って埃だらけになった手を叩きました。