Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 139 caractères · 233 écrans
六
腰元のお菊と、用人進藤市太郎の倅で、屋敷に踏止まった勝之助が、青と赤の印の付いた御神籤を交換して、わずかにお互の無事を知らせ合い、いろいろしめし合せて来たのは、行届きすぎる悪人どもの監視の眼をくぐり、その毒計に対抗して、家と若君との無事を計る苦衷だったのです。
主人将監は長崎のお役目が済んで、いよいよ三日の後には帰ることになりました。その三日さえ無事に過せば、奥方の無実を言い解く道もひらけ。若君謙之進の身も安泰になるでしょう。が、悪人のあせりようも一段猛烈をきわめて、その三日を無事に暮せるかどうか、はなはだ覚束ない有様になっていることも事実でした。
「親分、そう聴いちゃ放っておけません、乗込んで行きましょう」
「馬鹿なことを言え、町方の岡っ引が、二千五百石のお旗本の屋敷へ乗込めるわけはない」
平次の悲しみはそこだったのです。いかに証拠が山ほど揃っても、武家屋敷の塀の中までは、町方の手は届きません。
「口惜しいじゃありませんか、親分」
「だが、たった一つ」
平次は深々と考え込みました。
六
明日はいよいよ主人将監が帰るという日、銭形平次はとうとう青い御神籤の曲者――実は久野将監の家来進藤勝之助を本所相生町の隠れ家に突き止めてしまいました。