Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 139 caractères · 233 écrans
「打つ飲む、両刀遣いだから、ろくな行火もありゃしません。とんだくたびれもうけで」
八五郎も苦笑するばかりです。木枯しの吹いた後の雑木林のような淋しい世帯は、八五郎の巣よりも惨憺たるものです。その日菊坂の空地に鋳掛の仕事をしていた権次が、事件に何かの関係を持っているかも知れないと思った平次の勘は、これで見事に外れました。ここには行方不明になった五人の子供はおろか、五匹の鼠も住んじゃいません。
「親分」
ちょっと外へ出た八五郎は、面喰らったように飛んで帰りました。
「何だ」
「権次は真砂っ原にいますよ、近所の人が見て来たそうで」
「行ってみよう」
二人は真砂町まで引返したことは言うまでもありません。
「あれだ、親分」
遠くから指されるのも知らずに、鋳掛屋の権次は、近所から集めた鍋や釜を六つ七つ並べた中に、フイゴを据えて、煙草を輪に吹いているのでした。まさに「鍋鋳掛すてっぺんから煙草にし」といった図です。
「おい、権次」
「あッ、銭形の親分」
平次はその前に立ちはだかりました。顔を挙げたのは四十五六の乾し固めたような男、貧乏摺れがして、猿のような眼が、ずるそうにまたたきます。