Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 139 caractères · 233 écrans
六
最後に念のために、もういちど土蔵の中を見ましたが、二階の唐櫃の落ちたのはやはり悪者の巧みに企んだ仕掛けで、大きな雛の道具を入れた箱を持って、足元を見ずに登ったとすると、かならず第一段目で仕掛けの板を踏み、綱に加わった力が上に伝わって、危うく手摺から乗出させた唐櫃が、百貫近い重さで、ちょうど下にいる人間の頭の上に落ちるようになっていたのです。
お今に訊くと、漬物石はよく洗って、階下の漬物倉に置いたもの。一つの目方が十貫近く、これを楽々と持ち運べるのは家中に幾人もありません。
帰る時支配人の半九郎に、下女のお文を宿へ帰さないように頼みましたが、どうしたことか半九郎はあまり好い返事をしてくれないばかりでなく、
「あの娘は悪い癖がありますから」
と露骨に嫌な顔を見せるのでした。
六
その晩、平次に代って、ガラッ八の八五郎が岡崎屋を見張りました。
支配人半九郎、掛り人与七、手代栄吉、下女お文、お今――などの身許調べは下っ引五六人を駆り出して、手いっぱいに働かせたことは言うまでもありません。
「八、若い女二人に気を付けろ」
平次が注意したのはたったそれだけ。八五郎はその意味が判らないながらも、下女のお文をお琴の部屋に一緒に寝かした上、自分はその隣の部屋に頑張って、とうとう夜を明かしてしまいました。