Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 139 caractères · 233 écrans

Aozora Bunko

称える人たちも、それに何の意味があるか、何の功徳があるのかも知らず、母親とか乳母から口移しに教えられたのを、そのまま伝えるだけでございます。それでもやはり切支丹邪宗門で火焙りにならなければ済まないでしょうか」

お雪は聡明で、純情な娘でした。慶長元和以来、町人武士の一部の間に、地下水のごとく潜入している切支丹の信仰は、紅毛人の手から切り放され、すっかり無害になっているのを知り尽して、こう平次に説いているように見えるのでした。

「邪宗門の禁制のことは俺は知らないが、放火が切支丹と関係がないと判れば、ずいぶん七十八人の命を助けられないこともあるまいよ」

こう言うのは、平次にとっては、精いっぱいのことでした。

「有難うございます親分さん。――九州生れの私は切支丹のことをよく存じております。切支丹は放火などをするはずがございません。――親分さんさえその気になって下されば、七十八人の者は助かったも同様でございます」

「だが、放火を挙げるのは容易でないよ。四年越し尻尾をつかませない曲者だ」

切支丹でないとすると、江戸を恐怖のドン底に陥れたのは、いったい何者の仕業でしょう。