Classiques japonais avec furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lisez 雪国の春 (ゆきぐにのはる) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 000 caractères · 266 écrans
四
峠の双方の麓の宿場などが、雪に中断せられて二つの嚢の底となることは、常からの片田舎よりもなおいっそう忍びがたいものらしい。だからめいめいの家ばかりを最も暖かく、なるだけ明るくして暮らそうとする努力があった。親子兄妹が疎み合うては、三月、四月の冬籠りはできぬゆえに、誰しもこの小さな天地の平和を大切にして、いつかは必ずくる春を静かに待っている。こういう生活が寒い国の多くの村里では、ほぼ人生の四分の一を占めていたのである。それが男女の気風と趣味習性に、大きな影響を与えぬ道理はないのであるが、雪が降れば雪見などと称して門を出でて山を望み、もしくは枯柳の風情を句にしようとする類の人々には、ちっとも分らぬままで今までは過ぎてきたのである。
四
燕を春の神の使いとして歓迎する中部ヨーロッパなどの村人の心持は、似たる境遇に育った者でないと解しにくい。雪が融けて初めて黒い大地が所々に現われると、すぐにいろいろの新しい歌の声が起こり、黙して草むらの中や枝の蔭ばかりを飛び跳ねていたものが、ことごとく皆急いで空にあがり、または高い樹の頂上にとまって四方を見るのだが、その中でも今まで見かけなかった軽快な燕が、わざわざ駆け回って、幾度かわれわれをして明るい青空を仰がしめるのを、人は無邪気なる論理をもって、緑がこの鳥に導かれてもどって