Classiques japonais avec furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lisez 雪国の春 (ゆきぐにのはる) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 000 caractères · 266 écrans
しかも海尊はただ長命をしていたばかりに、永くこの地方においては歴史家の権威を失わなかったのである。『気仙風土草』の記するところによれば、この郡唐丹村の荒涼の海に近く、亀井墓と称する古墳があった。どうしてそんな事がわかったかというと、江戸時代の初めころに、常陸坊海尊が松前からの帰途に、この村を通ったことがある。そのおり出会した土地の山伏成就院なる者に向かって、これが亀井六郎の墓だと教えてくれたによって信ずるので、彼はおうおうにしてこのごとく信任を濫用している。
そうかと思うと加州の金沢などでは、亀井六郎と常陸坊と二人、仲よく今も暮らしているという者が、現に百五十六年前まであった。号を残月という道心坊があって、小松原宗雪と称する浪人と、寒山拾得のごとき生活を続けていた。もとはこの城下の浅野川が、東西に流れていたものだなどというので、さてはと土地の人々も耳をそばだてた。二人に源平時代の話をさせようとする者は、わざと知らぬ顔をしてその前で『義経記』を朗読する。そうするとたちまち釣込まれてそれは大ちがいなどといって、思わず本当の話をしたという。多分は残夢や清悦のごとく、いや義経公はあまり風采の揚がらぬ反歯の小男であったことの、弁慶は三十七、八の色の白い好男子であったのと、もう何人でも反証しえないような、新事実ばかり