Classiques japonais avec furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lisez 雪国の春 (ゆきぐにのはる) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 000 caractères · 266 écrans
六
それは寛政四年子の春の日記で、標題を「千島の磯」と記している。この時は真澄は大館山の麓の、天神社の脇に借宅をして、寂しい独身生活をしていたが、あまりに雪が深いので外の正月も森閑として、おりおりは城内の士人の歌の会などに往来しても、目につくような街頭の行事はなかったようである。五日には城中に万歳を舞わしめらるべしとあって、おりふし来合わせて冬籠りをする旅役者沢田の某という者が、臨時に万歳になって召されたと記してある。十四日の宵のみは町家にも儀式があった。子供が手に持って唱え言を述べあるく短い杖を、松前ではゴイハイ棒といった。すなわち羽後飛島のヨンドリ棒、越後の道祖神などと一つのもので、古くからこの方式ばかりは日本人が、いかなる雪の国にも持って行かずにはいられなかったことが想像せられる。
六
この寛政四年の十月始めには、まる三年の蝦夷滞在を終わって、引っ返して外南部の奥戸の湊に上陸した。それから二年半ほどの間が、下北半島の小天地の生活であった。この地方の正月記事は幸いに「奥の手振」という寛政六年のものが、ほとんどこれをわれわれに伝えんとして用意しておいたかのごとく、画も文章も完備して残っている。