Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lisez 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 961 caractères · 317 écrans

Aozora Bunko

私は長の手を握った、「――どう、まだぼくのことを思いだせないか」

「さあねえ」長はたよりなげな微笑をうかべた、「わかんねえなあ」

「釣りに来るよ」と私は云った。

鉄さんの店の若者が二人と長とが、車の脇に立って見送っていた。私たちは車に乗り、車は走りだした。

「よかったわ、ほんとに」と木村ふみ子君が感動のこもった口ぶりで云った、「沖の百万坪も石灰工場も、――あの人たちまでみんな、いま青べか物語から出て来たっていう感じだったわ、ほんとうによかった」

私は初めから終りまで、長の名を呼びすてにしていたし、長もしごくあたりまえのようにそれを受けいれていた。数えてみると、私が浦粕を去ってからまる三十年になる。長も四十一歳、子供も五人いるということだ。その彼を「長」と呼び、彼が「おう」と答えるとき、私の心には三十年という時間の距離はなかった。にもかかわらず、彼には私の記憶がないのだ。青べかのことを訊いてみたが、それもごくかすかに覚えている程度とみえ、「なにしろ古いことだからねえっ」と云って話をそらしてしまった。したがって、題名の青べかがどうなったかは、ついに不明のまま、この物語を終らなければならない。