Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

ところが田郷さん、その婦人は、まだこの館の中に潜んでいるのですよ。ああいったい、それは誰なんでしょうかね」と再三真斎の自供を促しても、相手は依然として無言である。法水の声に挑むような熱情がこもってきた。

「それから僕の脳裡で、その一つの心像が、しだいに大きな逆説となって育っていったのですが、しかし、先刻貴方の口から、ようやくその真相が吐かれました。そして、僕の算定が終ったのです」

「何と云われる。儂の口からとは?」真斎は驚き呆れるよりも、瞬間変転した相手の口吻に、嘲弄されたような憤りを現わした。「それが、貴方にあるたった一つの障害なのじゃ。歪んだ空想のために、常軌を逸しとるのです。儂は虚妄の烽火には驚かんて」

「ハハハハ、虚妄の烽火ですか」法水はとたんに爆笑を上げたが、静かな洗煉された調子で云った。

「いや、打たれし牝鹿は泣きて行け、無情の牡鹿は戯るる――の方でしょうよ。しかし、先刻貴方は、僕が『ゴンザーゴ殺し』の中の汝真夜中の暗きに摘みし草の息液よ――と云うと、その次句の三たび魔女の呪詛に萎れ毒気に染みぬる――で答えましたっけね。その時どうして、三たび以後の韻律を失ってしまったのでしょう。