Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
「僕は毒物というものの使途に、これまで陰険なものがあろうとは思わなかったよ。どうして、あの冷血無比なファウスト博士でなけりゃ、残忍にも、これほど酷烈な転課手段を編み出せるもんか」
検事は側を振り向いて、一行を案内した園芸師に訊ねた。
「最近に誰か、この温室に出入りした者があったかね」
「い、いいえ、この一月ばかりは誰方も……」とその老人は、眼をって吃ったが、検事を満足させるような回答を与えなかった。それに法水は、押しつけるような無気味な声音で追求した。
「オイ、本当の事を云うんだ。広間にある藤花蘭の色合わせは、ありゃ、たしか君の芸じゃあるまいね」
この専門的な質問は、ただちに驚くべき効果をもたらした。まるで老園芸師は、あたかもそれ自身が弓の弦ででもあるかのように、法水の一打で思わず口にしてしまったものがあった。
「しかし、傭人という私の立場も、十分お察し願いたいと思いまして」と訴えるような眼で、憐憫を乞うような前提を置いてから、怯ず怯ず二人の名を挙げた。「最初は、あの怖ろしい出来事が起りました当日の午後でございましたが、その時旗太郎様が珍しくお見えになりました。