Classiques japonais avec furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lisez あさひの鎧 (あさひのよろい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 520 caractères · 475 écrans
「そうさ、可哀そうに、贄だからなあ」
煙りが勢いを加えて来た。
臭気も勾いを強めて来た。
と、また範覚の声が聞こえた。
「贄持って来オ――、贄が足りねえ――ッ」
「オ――」
と、こっちからまた一人が云った、坊主あがりらしい円い頭の男が、ノッとばかりに立ち上がると、一匹の狐をひきずりながら、荒筵の前まで行き、狐を向こうの部屋へ投げた。
煙りの量が多くなり、臭気がひときわ濃くなった。
祈祷の声はなおも続き、振鈴の音もつづいて聞こえた。
と、不意に荒筵が、向こう側からかかげられ、金剛杖に身を縋らせた、金地院範覚がよろめき出た。
「たまらん、参った、オレ参った!」
そう云う声も息絶え絶えであった。
「鳴らんのだ、釜が、贄釜がよ! ……姥のご機嫌、それで斜めさ! ……姥のご機嫌もご機嫌だが、こっちのご機嫌だってナナメだあね。……同情してくれ、つもってもみてくれ! ……前七日、中七日、後七日で二十一日よ! ……今日が二十一日だ! ……二十一日のその間中、姥の調伏祈祷に殉じて、一切生物を断っていたばかりか、この洞窟から日の光の中へよ、一足も出ること出来なかったんだからなあ。