Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Lisez あさひの鎧 (あさひのよろい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 520 caractères · 475 écrans

Aozora Bunko

この時、率然と宮家の御心へ、父帝の御事が思いいでられた。

笠置落城後御いたわしくも、賊軍の手にお渡りになり、六波羅へ入御あそばされたとばかり、世上の取り沙汰で耳には入れたが、その後いかが遊ばされたか。

尊澄法親王、尊長親王、このお二方も賊の手に渡り、藤原藤房、花山院師賢、北畠具行、千種忠顕、これらの人々も賊の手に! ……

(その後はいかに? その後はいかに?)

宮家には思わず沈思遊ばされた。

その夜蓑笠で体を蔽い、雪をしのいで一人の男が、戸野の館へ近寄って来たが、雪持ち松の逞しい枝を、笠のように着ている大門に寄り添い、しばらく様子をうかがってから、潜り戸を拳で、ホトホトと打った。

「誰じゃい」

と、内側から門番が云った。

「こんなに遅く、何んの用じゃい」

「あけろ、わしじゃ、大弥太じゃ! ……御曹司様のご帰館じゃ」

「や、ほんとに、大弥太様のお声じゃ」

すぐに潜り戸があけられた。

「そっとしておれよ、面映ゆいからの」

云いすてて大弥太は玄関へはかからず、裏口から、こっそり屋内へはいった。

「まあ若様!」

とその姿を認めて、二、三人の婢女の驚くのを、

「静かに静かに、ええ騒ぐな」