Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Lisez あさひの鎧 (あさひのよろい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 520 caractères · 475 écrans

Aozora Bunko

「それでも妻か! 妻といえるか!」

「…………」

「あなた、ないしは頼春様などと、俺を親しそうに呼ぶ女は誰だ!」

「…………」

「漢権守の恐ろしい居城の、あの騒乱の際において、ゆくりなく互いに手を取った、それが縁となって二人は逢い、話し合ってみれば、話し合ってみれば……が、わしは云った筈だ、『漂浪人同士、乞食同士となら、ついて来い、一緒に行こう』と。……」

「漂浪人同士にござります。乞食同志にございます」

「そうだ、二人は他人同志だ」

「でも……ああ……いつになりましたら?」

「…………」

「良人じゃ妻じゃと……」

早瀬は泣いた。

風が顔の前の垂れ布を靡かせ、涙の伝わっている頤のあたりを、白っぽい陽にひとしきり曝した。

「わしの罪が許された時に……」

「…………」

「わしの心はのびやかになろう」

「…………」

「人を許す心にもなるだろう」

「その時妾の罪を許して……」

「うむ」

と頼春は頷いた。

茫々と展開けている芒の原には、春の陽がなんどりとあたってい、小松が斑点のようにところどころに生え、小丘が波の蜒りのように、紫ばんだ陰影をもって、芒の上に起伏していた。

と、犬の悲鳴が聞こえ、そこから忽然と空へ向かって、純白な毬のような物が飛び上がり、すぐに芒の中へ落ちてしまった。