Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans

Aozora Bunko

「どう少なく見積もっても」

「いくらだ」

「要るの、どうしても百八十円」

「エ」

吐胸を突かれたとはこのことだったろう。

百八十円とは――。

自分のまじくなえるお金とは、あまりにもあまりにもへだたりがありすぎる。地球の果ての噂を聞くようでなにがなんだか、わからなくなってしまった。

黙ってそのまましばらく息を呑んでいたが、

「エエ、じゃもうしかたがねえ身を売ろう、苦海とやらへ身を沈めて」

「エ、エ、なんだって」

とっさにお艶には今松の言葉の意味がわからなくて、

「ナ、なんて言ったの、今、ちょいと」

「ダ、だからよ、苦海へ……苦海へ身を沈めようって」

「誰が、よ」

「きまってるじゃねえか」

長い顔を突出して今松は、

「コ、この俺が、よ」

「馬……。いい加減にしてよ、今松さんあんた男じゃないの」

さすがにプーッとお艶はふき出したが、すぐにしんみりした顔にかえって、

「ア、もう、いいの。もう、やめて。いいえ、あんたのその親切だけで、もうもう私充分なの。ありがとう今松さん」

ふと声を曇らしかけたが、

「ほんとにもうこんな話、やめましょうよ。それよか、あんたの御出世、心から私、祈ってますわ。