Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans

Aozora Bunko

「……よウし」

手早く今松は尻をからげた。

拳を固めた。前後左右見廻した。幸いに車掌台まで一気に駆け抜けられる程度に、客と客との間は空いていた。

プッと小さくその拳へ呼吸を掛けた。

ド、どうするか見やがれ。

ポカポカポカポカ。

たちまち続け打ちに、滅多打ちに、アッという間に五つ六つなぐりつけだ。

そのまんま、ピューッ。

後をも見ずにとはこのことだろう、横っ飛びに今松は車掌台まで飛んでいった。

ちょうど伴伝の前だった。

夢中で飛び下りて食傷新道を木原亭まで。楽屋へ入り、便所へ入った。手洗いの水へ手拭を浸して、打たれたところを押し付けた。熱い痛い顔中が、少うしばかり自分の顔らしさを取り戻してきた。

「今松兄さん……今松さん」

そのとき便所の戸の外で、前座をしている左楽の弟子の左鶴が、声高に呼んだ。

「あと高座へ上がる人が誰もきてないんです、早く、早く上がって」

「よしきた」

濡れた手拭を片手に握ったまま便所を出ると、外は初夏らしく晴れているのにひどく薄暗い高座へ、ソソクサと上がっていった。そうして、座った。

二つ三つ、暗い客席から拍手が聞こえた。

一礼して顔を上げ、「エー一席……」