Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
蠍だ。空一杯の黒雲の様な蠍だ。歯ぎしりの出る程いやらしい蠍の腹部だ。それが、今にも品子をおしつぶさんばかりに、目を圧して迫って来るのだ。
何とも形容の出来ない、恐ろしい悲鳴を発して、彼女は目覚めた。見廻すと、そこは白い寝室であった。ベッドの枕下の小さい卓上電燈が、天井に丸い光を投げていた。
品子は、全身油汗にまみれて、恐る恐る寝返りをした。そして、庭に面したガラス窓を見た。
カーテンが半開いて、その向に真暗な夜があった。
品子の寝室は洋館の階上に在ったので、梯子でもかけなければ、その窓へ忍び寄る事は出来なかった。その上ガラス戸には、内部から厳重な締りがしてあった。
「大丈夫、大丈夫、窓の外には人間のよじ昇る足場なんてありやしないのだから」
彼女は、高鳴る心臓をおし静める様に、自分自身に云い聞かせた。
だが、人間はよじ昇れなくても、虫なれば、蠍なれば、苦もなく這い上って来るかも知れない。
ふと、そんなことを考えて、彼女は思わず身震いした。
窓の外を、非常に大きな虫類が、ゴソゴソと這い上っている幻想が、今の悪夢の続きの様に、彼女を戦慄させた。
「どうかしているんだわ、あたし。