Classiques japonais avec furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans
僕は相手をたきつけるために、わざと相手の話を否定した。すると策戦はまんまと図にあたって、彼女はまっ赤になって語りつづけた。
「ところが、あの顔をしていて、先生はまるで色魔なんですよ。診察室の扉をしめきって、一時間もその奥さんと二人っきりでいたことが何度あるか知れやしないわ。診察のときには、いつもついたての外に看護婦をつけておくのがここのきまりなんですけれどね、とにかく、とうとうその夫人が妊娠して、三ヶ月ばかり前に分娩したのよ。しかもこの病院で」
「だって人の夫人が妊娠したのなら、先生の子供かどうかわからないでしょう。きっと誰かの中傷ですよ、そんなことを言いふらすのは」
僕は相変わらず、急所々々で相手の話に抗議をさしはさむことを忘れなかった。すると、その度に婦長の話には熱心の度が加わってきたものである。探訪記者というものは皆こういうこつを知っていなくちゃならんのだ。
「だって、そのことについては生きた証人があるのよ。その子供が先生と瓜二つなんですもの。わたしもはじめて見たときにはっとしちゃったわ。おでこの具合から、口のあたりがまるで先生にそっくりなの」