Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans

Aozora Bunko

男は言葉の調子をがらりとかえて、妙に丁寧になった。そして気のせいかずっと若くなったように私には思われた。

「一体どうしてあんたはこんなところで夜を明かす決心をしたんです。何か悪いことでもして身をかくす必要でもあるんですか? それにどうしてあの橋の下へ行ったのです?」

私は問われるままに、ぼつりぼつり身の上話をはじめた。昼間の暑さと雑踏とにひきかえて夜の動物園は静かで、さわやかな風が冷え冷えと肌に感じられる。二人は時々聞き耳をたてては警戒しながら、低声で問うたり答えたりした。私が昨日から何も食べないので、ひどく空腹を感じていると話したとき、彼は懐中からビスケットの紙袋をとり出して、「これを食べなさい」と言って私の顔の前においた。私はだまってそれを食べた。昼間この同じビスケットを拾って食べたことは流石にだまっていた。

「ところで、あなたこそ、一体どうしてこんなところへ来ているのです?」と私はとうとう問いに転じた。

「僕はここに泊まるのはこれで三度目ですよ」と男は無雑作に答えた。「僕が何者かということは今言えないが、ことによるとあなたは僕が名前を言えば知っているかも知れません。