Classiques japonais avec furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans
一分間舞台空虚になる。舞台の右手の方で「手を上げろ」という声が聞こえる。つづいて芦田と牧とが両手をあげて後ずさりをしながら帰ってくる。二間ばかり離れて仮面をつけたモーニングの男が二人にピストルの銃口をさしむけながら悠々とはいってくる。
仮面の男――ははあ、君らは警察の回し者だな。お気の毒だが我が輩はもう少し年貢をおさめるわけにはいかんのだ。君らの痩せ腕でつかまるようなこって、まっ昼間、こんな危ないところへ、うかうか顔が出せると思うか。
牧――何をっ!
仮面の男――(きっとなって)声を出しちゃ、ためにならんぞ。実はな、ここへ今に三四人ばかり、いりもしない首飾りや指環をつけた夫人連がやってくるので、その不要品を頂戴して、貧しい者に恵んでやろうと思っていたのだ。それを君らが邪魔するもんだから、つい、ふりかかるごみは払わにゃならんという仕儀になったのだ。我が輩は乱暴は好まん。それはこれまでの我が輩のやり口を見てもわかるだろう。我が輩はまだ一滴も血を流したことはない。だがそれは君らの方でおとなしくしている場合に限るんだ。さあ、二人ともピストルをこちらへ出せ! はやく出せ。