Classiques japonais avec furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans
だが私は誰にも知らせずに、この真相を私一人で是非つきとめてみようと思いたった。というのは、私を殺した人に復讐したり、その人に自白を迫ったりするためではなくて、むしろ、その人に自白などをされては困ると思ったからだ。この不思議な境遇をずっとつづけて行ったらどんなことになるかを試してみたいと思ったからだ。
で私はまず私の死亡を診断した瀬越雄太郎という医師をたずねた。
瀬越医院は診断書に書いてあった番地にまちがいなくあった。私は名前を偽って院長に会った。彼はその時の事情をよくおぼえていて、気さくに何もかも話してくれた。
「ついここから二つ目の通りの最初の路次を曲った右側の家ですよ。私を迎えに来たので、最初私が行ったのは、亡くなられた前の日でしたが、一目見てもう駄目だってことがわかりました。ずいぶん永年わずらったものと見えて、両方の肺がすっかり滅茶々々にこわされて、まだ生きているのが奇跡だと思われるくらいでしたからね。あの病気の患者は息をひきとるまで意識が明瞭なのが普通ですが、その男は、まるで、強い酒でも飲んだあとのように、ひどく心臓が弱っていて、熱もあの病気の患者としては異常に高く、私が診たときは昏睡状態だったので、私はどうにも施すすべがないので、ただカンフルの注射をしてあげただけでした。