Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans
むくと、彼はふいに起きた。
晏如と、身を横にしていられないような衝動が、唐突に、意識を度外して、からだを起させたのである。
蘭丸は、驚いて、
「どうかなさいましたか」
「いや。……いま何刻だな」
「亥の刻ごろかと思います。お時計番にたしかめて参りましょうか」
「それには及ばぬ」
と、支えてふと、蘭丸の腫れぼったい瞼に眼をとめ、
「なにを泣いていた?」
「はい」
「眠とうて、奉公が辛うなったか」
「そんなことはございませぬ」
「では、なんで泣いた」
「どうしたのか、わかりませんが……」
と、蘭丸は両方の眼を肱でかくしながら――
「殿のおからだをさすっておりましたら、討死した父のことが、急に胸にせまって来て、ひとりで涙が出てしまいました。おゆるし下さいまし」
「三左衛門可成のことを思い出してというか」
「……はい」
「そちの父可成は、去年、叡山をかこむ前、朝倉の大軍と僧兵につつまれ、宇佐山の城と共に相果てた。あとに遺ったそちもまだ少年、悲しむは無理もないが、嘆いては、父のいさぎよい討死も、可惜、何もならないものとなろうぞ。泣くな。可成は死んではいない」
「えッ、父は死んだのではございませんか」