Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans
――同時に、甲州へのお使い、また、浅井家や朝倉家などへも、機を逸さぬように、御密書を送られますように」
「よし。わかった」
「おぬかりもございますまいが」
密使の僧は、こっそり退って行った。――その日、べつの殿中には、信長が、着京の挨拶のため伺候して、義昭の出座を待っていた。
義昭は、何喰わぬ体をつくろって、信長の待っている公式の間へ現われた。
「姉川の一戦は、大そうな勝軍でお引揚げとやら、いつもながら御武勇なこと。いや、めでたい。祝着にぞんずる」
信長は、彼の世辞に、苦笑を禁じ得なかったが、皮肉にも、
「いや、御威徳によって、後事に憂いもなく、一途に戦えましたために」
と、いった。
義昭は、女のように、すこし顔赤らめながら、
「安心するがよい。洛中は見らるる通り至極平穏。――が、戦後、怖ろしく迅い上洛、なんぞまた、異変でも聞かれたかの」
「いえいえ。禁裡御普請の落成を拝し、その後、怠りがちの政務を視、かたがた御機嫌をお伺いに」
「いや、そうか」
義昭は、すこし安心して、
「このとおり身も健固、また、政務も滞りなく運んでおれば、そう心に懸けて、度々の上洛には及ばぬ。