Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

いつか京都の町中だった。数正が別れを告げようとすると、秀吉はまた留めて、

「この暑さに、陸路を廻るは、賢明でない。大津より湖上斜めに、舟便とされるがよい。舟用意のできる間、玄以の家で、弁当なとつかおう。まあ、来い、来い」

玄以とは、先頃京都所司代の任についた半夢斎前田玄以のことだろう。否やなく、秀吉は数正を拉して、その玄以の役邸へ伴ってしまった。

門は清掃されていた。あらかじめ予報されていたものとみえ、玄以の数正を迎えることは、鄭重を極めた。秀吉は、却って、

「そう、堅うするな、堅うするな」

と、飽くまで寛いでみせ、茶亭で午の饗宴がすむと、いやその食事や喫茶の間も、大坂経営のはなしの続きをやめなかった。

「玄以、絵図を持て、絵図を」

「御普請の図面で」

「そうじゃ。ここにも、写しが一図あった筈」

「ござりまする」

やがて、玄以がそこへ、取り寄せて来た大図面を拡げた。他国の外臣にたいして、平然とこういうものを示す秀吉の意中を、見せる者も、見せられる者も、ひとしく惧れるような顔つきである。

秀吉は開放主義である。この胸襟をひらいて語る前には、数正が、徳川家の臣であるとか、その徳川家が、自己に取っての何者であるかなども、ほとんど、忘れ去っているかのようにしか思われない。