Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans
明白なその相違は、三郎兵衛も知らぬはずはなかろうに、何で、その優勢な兵をひいて、この一城を振り捨てて、夜のうちに、伊勢へ退却してしまったか? ――甚内を始め、城へ入った者どもが、無血占領の歓びを歓ぶことも措いて、
「ふしぎだ?」
「解せぬことよ」
と、ただ疑いの中にあったのは無理もないことだった。
すると、甚内の家来の一名が、あわただしく何か告げて来た。甚内は、
「なに、天守の壁に?」
と、すぐそこへ駈け登って行った。
見ると、天守三層目の白壁に、滝川三郎兵衛の筆で、墨くろぐろと、一文が書き遺されてあった。
一つ、此城預け申す証文の事
母ハ我ガ胎ナリ、胎ハ我ガ身命ノ基ナリ。一命元ヨリ君家ニ託セド、君家未ダ兵馬ノ命ヲ発セズ、猶一日ノ無事アルヲ窺ヒ、即チ、質ノ母ヲ偸ミ、御辺ノ義ヲ欺ク。罪大ナレド、非義ヲ咎ム勿レ。人間誰カ母ノ子ナラザル者アランヤ。而アレ、御辺ノ情ニ対シテ、弾ク弓ナク、御辺ノ恩ニ向ツテ衂ヌル刃ナシ。為ニ、御辺ガ主家ニ得タル罪ト同坐シテ、我モ一旦、敢テ不忠ノ名ヲ蒙リ、此一城ヲ御辺ニ預ケ、敗者ノ辱ヲ忍ンデ伊勢ニ退ク。
御辺、是ヲ受ケヨ。他日、我レ是ヲ再ビ敗ラン。