Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

――斉昭公だ。

秀之進はそう直感し、これもすぐに座を立った。

斉昭は質素なみなりだった。生麻の無地の帷子に、おなじ地の紋を小さく染めだしたひとえ羽折をかさね、こまかい小倉縞の袴をつけていた。額の高い、おもながの、いかにも高貴の人らしいおっとりとした顔だちであるが、眼光と口もとに、するどいものが感じられる、……秀之進はすばやくこれだけの印象をつかんだ。座を立ったかれは、そのまま狭い料理場の隅へ隠れるように身をひそめた。あるじの老夫妻は裏へとびだして、雨落ちの底の下へ土下座をしていた。

「この頃は健康はどうか、少し肥えたようにみるが」東湖に云うらしい韻の深いよく徹る声であった、またつづけて、「宅慎が解けたので飲みまわっているわけか、あまりすごさぬほうがよかろう、肥えている者に大酒は毒だ」

そう云うのも聞えた。おっかぶせるような雷鳴で東湖の答えはわからなかったが、扈従の人々がつつましく笑った。

秀之進は東湖がめどおりの機会を作って呉れるかと思い、今にもその言葉が出るかと待っていたがそのようすはなかった。主従はなにか話してはなごやかに笑う。すさまじい雷鳴と豪雨の音で、会話はほとんど聞きとれなかったけれど、そのなごやかな雰囲気は湯のように温かく秀之進の胸にしみた。