Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans
でいるとはいえぬまでも生活には困らない、秀之進がいなければ市左衛門ただ独りで、下僕二人を使っている静閑な家だった。……そうだ、亀阜荘よりも早水家のほうが適当だ、おそらくかれもそう考えついたのに違いない。大助はそう考えて、ようやく肩の重荷をおろしたような気持になった。
昼食のときには藤尾は起きて来なかった。三人が顔を合わせたのは夕食のときだったが、秀之進は娘の挨拶に対して「うん」とひとつ頷いたきりだった。藤尾はさっと赧くなったが、つぎにはすぐ逆に蒼くなり、食事のあいだじゅう眼をあげることができなかった。
夜半十二時、三人は宿の者に提灯支度をたのみ、雨を冒して出立した。
藤尾は雨支度がないので、合羽も笠も大助のを借りた、大助は蓑と筍笠で間に合わせた。宿を出てから提灯をつけた。雨は降っているがもうそうひどくはない、むしろ間もなくあがるらしく、空には断雲の流れるのがおぼろげにみえていた。……ぴたぴたと、水溜りを踏む三人の足音だけが、深夜の道に空しい反響を伝えていった。
半刻ほどして道が小さな村宿へはいって出ると、右手にかなり広い草地のあるのがみえた。左手は宮川の流れである。