Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lisez 春いくたび (はるいくたび) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 094 caractères · 142 écrans
慇懃に会釈して、「いずれも存ぜぬことでござる。ひらにおゆるし願いたい、拙者は新庄藩の家中にて渡部金蔵、これは鹿島源四郎と申します。じつは――お家に不忠を働いて脱走した者を追詰め、その者はただいま谷底へ蹴落しましたが、持って逃げたたいせつな品が見あたらず、追手の者の申すにはこの家へお預けするのを見たとのことで、失礼をも顧みずおたずねいたしたしだいでござる」
「……不忠とは、どのような不忠をいたしたのか、してまたその品とは何でござる」
「それらのことはお答えがなりかねます。もし事実お預かりになったものなら、ぜひともお差出しが願いたい」
「おゆき――」
久右衛門はふりかえって、
「おまえ何か預かったのか」
「……はい!」
おゆきは恐れ気もなく眼をあげていった。
「たしかにお預かりいたしました」
「――――」
「父さまのお名が出ましたからは、もう嘘は申せませぬ、たしかにお預かりいたしました……けれど、あなたがたにお渡し申すことはできませぬ」
「それは、どうして――」
「お武家さまがわたくしに頼むと仰せられた品です。伝堂久右衛門の娘として、いちどお約束をした以上はどんなことがあってもそれを反古にすることはできませぬ」