Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans
しかし、いじめている二人に対しては、決して好感が持てなかった。ことに、真智子のしょんぼりした姿が、どうしても彼を落ちつかせなかった。彼は次第に何とかしなければならないような気がしだして来た。
ここでも若い地鶏が彼の眼の前にちらついた。彼は、やにわに橋の上に走って行って、恭一の前に立っている子供を押しのけながら言った。
「恭ちゃん帰ろう。」
押しのけられた子供は、しかし、振り向くと同時に、思うさま次郎の頬っぺたを撲りつけた。
次郎は一寸たじろいた。が、次の瞬間には、彼はもう相手の腰にしがみついた。
横綱と褌かつぎの角力が狭い橋の上ではじまった。
「ほうりこめ! ほうりこめ!」
恭一のうしろにいた子供が叫んだ。しかし次郎は、どんなに振りまわされても、相手の帯を握った手を放そうとしなかった。
とうとう二人がかりで、次郎をおさえにかかった。次郎は、乾いた土のうえに、仰向けに倒された。土埃で白ちゃけた頭が、橋の縁から突き出している。一間下は、うすみどりの水草を浮かした濠である。しかし次郎は、その間にも、相手の着物の裾を握ることを忘れていなかった。二人は少しもてあました。