Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

しかし彼はもう、彼がこれまで彼女からうけていたような強い圧迫を感じなかった。「意地の悪い敵」としての彼女が、いつの間にか「みじめな、一人ぽっちの老婆」に変りかけていたのである。

少し落ちついたころ、葬式をどこから出すかが問題になったが、町の方にはまだ大して近づきもないし、それに、本田の墓地がこちらにあるのに、わざわざ死体を町に運ぶまでもあるまいということになった。しかし、正木の家から葬式を出すのも変だというので、この近在では例のないことだったが、途中葬列を廃して、寺で告別式だけを行うことになった。この事についても、本田のお祖母さんは、しきりに世間体を気にしていたが、寺での告別式なら正木から葬式を出したことにはならないし、正木の家はただの病院だったと思えば何でもない、と言いきかされると、彼女はそれでやっと納得がいった、といったような顔をした。

まだ暑い季節だったため、入棺はその晩のうちにすまされた。子供たちは、代る代る石で棺の蓋を打ちつけたが、次郎は、力をこめてそれを打ちおろす気には、どうしてもなれなかった。釘の頭に石がふれた瞬間、彼は全身が弾きかえされるような気がした。