Classiques japonais avec furigana
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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
Lisez 求婚三銃士 (きゅうこんさんじゅうし) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 326 caractères · 330 écrans
これが大きいですよ。折角好いスタートを切ったのに、惜しいじゃありませんか?」
と大谷さんは、負けた場合ばかり想像している。此方が勝つとは決して思わないのらしい。安達君は苦り切ってしまった。そこへ奥さんが、
「安達さん、吉川さんが、お見えになりましたよ」
とお茶の間から取次いだ。
引き退るに好い切っかけだった。安達君は玄関へ行ったが、吉川君はもう二階へ上っているのだった。
「何うだい?」
「何うでもないよ」
「小宮君から電話がかゝって来たろう?」
「来た」
「行くかい?」
「行く」
と安達君は一々無愛想に答えた。
「ところで誘惑に来たんだ。何うだい? これから銀座へ附き合わないか?」
「厭だ」
「何故?」
「そんな心持になれない」
「御機嫌が悪いのか?」
「当り前だ」
「おや/\。さてはこの男、もう感づいているんだな」
「僕を盲目だと思っているのか?」
「恐れ入った。実は君に話して諒解を得たいことがあるんだ。飲みながらと思ったが、こゝでも宜い」
と吉川君は銀座を諦めて落ちついた。安達君の頭の中には今しがた考えた警句が渦を巻いていた。
「眉毛に唾をつけて聞こう」
「僕もこれで良心があるんだ」