Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

「ばかな!」

かれは、今の、不快な想像をうち消して、

「お蝶に限って、そんなことのあるわけはない。わしを異国人と思うて、伝八めが気をもましてみたのじゃ」

自ら気をとり直して、雨戸を閉めたり、書物を片づけて、膳の前にきてみると、お蝶は、親の目にも見とれるくらい、濃厚な夜化粧をいつのまにかして、父の給仕を待っています。

「つけて貰おうか」

「生憎、温かい物が何にもなくなって……」

「いや、結構。だがお前は、今し方までどこへ行っておったのだ」

「御門鑑をいただいて、坂上まで、買物に行ってまいりました。お父さんの煎薬やら、私の、あの、春着を縫う糸なんかも……」

もの言うたびに、黒髪の蔭で金の蝶簪がキラキラする。気をつけてみると、半襟や帯、袖口からのぞかれる襦袢といえども、それは、山屋敷に住む者の娘などとは思われない贅沢ずくめ。

貧しい二官は、お蝶が自力で、春秋の粧いを見事にやってゆくのを変には思ったが、聞いてみると与力の奥様に貰ったとか、縫い仕事をして求めたとか、巧みに言ってぬけるので、そうかしらと、信じて少しも疑わない。

「世間を知らないお父さん――」

お蝶は、自分の父が、事情に暗い異国人であることを、ある時は、幸せだとさえ考える折があります。