Classiques japonais avec furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lisez 浅草風土記 (あさくさふどき) de 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 294 caractères · 318 écrans
……どこの通りにももう残りなく笹が立ち、そこ此処の、飾りを売るさしかけの小屋の中に、惜しげなく、あかあかとおこした炭火をかこんだ売り手たちの刺っ子半纏、革羽織、もうろく頭巾。……うず高く積んだ牛蒡じめのかげ、歯朶の、裏白の、それぞれのいろをふかめて、日毎に霜はいよいよ白い。
そうなると、毎日どこの米屋でも、菓子屋でも、朝、夜のまだ明けないうちから、にぎやかな餅の音である。そしてその音にさそわれて、ともすればふり出す雪のすべである。……が、ほどなくしかし、それも止み、曇ったままながら、うすい日ざしの濡れかけた屋根々々に寂しく落ちて来るとき、庭には植木屋がうきよをよそに、一人、霜除けの松葉を敷いている。……勿論、まだ、梅のつぼみは固くつめたい。
で、二十八日は納めの不動の、麦藁細工の住吉踊である、春をそよぐささ啼である。……そのまま二十九、三十、三十一。……大晦日である。……一年いよいよの最後の日である。
好晴……
……おかしいほど、わたしは、天気のわるい大晦日の記憶をもたない。大晦日といえばいつも天気である。いかほど前の日くもっていても、いかほどあくる日ふったにしても、その一日だけはつねに青空の、風も和めば、飽くまであかるい日のいろの、末をうらうらと、いやはての生命のしずけさを思わせて霞むのである。