Classiques japonais avec furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Lisez 海上の道 (かいじょうのみち) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 182 344 caractères · 353 écrans
四 鹿島の事ふれ
すなわちその世の中を復興する力が、隠れて外にあり、それを信心によって招き寄せ得るということが、悩み苦しむ生活のせめてもの楽しみだったかと思われる。弥勒という年号などは、京都の教養人にはもとより意外であり、また滑稽でもあったろうけれども、是があるためにこの種の他力信仰の時代色、もしくは中心とも根源とも名づくべきものが、少しずつ摸索して行かれるのである。
四 鹿島の事ふれ
故橋川正君の日本仏教文化史の研究に、常陸鹿島の弥勒の船の踊歌を、このいわゆる弥勒二年の私年号と、関係のある現象だろうと説かれたのは、注意すべき一つの見解であった。後の改作が想像し得られるにかかわらず、今伝わっている謡の辞句も、表現がいかにも素樸であって、室町期の気分が感じられるほかに、一方には寛永の頃、諸国に疫癘の災いがあり、鹿島の神輿を渡してその患いを除かんことを祷った際に、この躍を踊ったのが始めだという言い伝えもあるというから、少なくとも近年の流行でないだけは判る。この私年号の称え始めが、鹿島だという証拠はまだ見当らぬが、常陸一国の文書の中にも二、三の実例はあって、ここが年号使用圏の東の端であり、そのうえに伊勢・春日とも対立するほどの、有力な信仰の中心があったのだから、その想像には若干の根拠なしとしない。