Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans
「途はおのずからひらけるものでござるよ――」と彼は少年に云った。
邦夷が唾をのんで、たずねた。やっと決心がついたと云う様子であった。が、それでもまだ吃った。
「おぬしの方は、ど、どうであった?」
「上首尾にて、判官じきじき、左右なく許可になりまして、取るものも取りあえず駈けつけましたが」
彼は阻まれたように思って顔をあげた。一座のものの眼はぎらぎらと彼を睨んで光っていた。口をつぐまねばならぬ場合であった。
「今更、何も――」
つぶやくように誰かがそう云った。あいまいな言葉で腹一ぱいの不満をぶちまけていた。
「よいものであるか悪いものであるか――」と別の声が疑惑のかたちでそう云った。
そして第三の声は高倉利吉の老いたる妻であった。彼女はすすりあげて云うのだ。その大胆に決然とした反対を、彼らはだまって聞いていた。
「わたくしはもう嫌でございます、菩提をすてて来ましたわたくしどもに、よいことのあろう筈はありません、たった今、今の今――郷里に帰していただきます、見も知らぬこのような土地で、かあいそうなこのほとけ、行くところにも行かれぬでございましょう、わたくしのこの不幸が、明日、ここにいるどなたかに廻って来ないと云われましょうか、今日、今――父、母の地に帰りとうございます、帰りとうございます、帰していただきたいのです」