Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans

Aozora Bunko

子供は足音をしのばせてそっと木蔭にたたずんだ。云おうと思った自分の用事は、憑かれたような母親を盗み見した瞬間に消えてしまった。子供心は、気が狂ったのではないかと思うのである。すると胸をしめつけられるように哀しくなった。わッと泣きごえをあげて一目散に駈けつけた。母親の腰にまつわり付いた。やっぱり何時もの通りの母親であった。

「大人が――何で泣いとる?」

「悲しければ大人だって泣かずにおらるるものか」と母親は子供の頭を撫でさすった、「そうじゃろう?――これがかなしゅうなかろうか、祖父さん祖母さんの云う通りにしとったら、坊もりっぱな武士の子じゃ、そろそろ学堂で素読など授けられて――それを見なさい、お前の父ごが意地をはったばかりに、浅ましい――こんな漁夫の家で犬のように寝て、いつ動きだすやら判りもせん船を待っとらねならん、宝ものにしておいた家の道具はみんな潮水に濡れて、使い途も無くなった、見んか」

母親は丸帯をからげて見せた。それがどれくらいの悲しみになるのか分らなかったが、子供は深くうなずいた。

「いっそ坊――」とふいに彼女は子供を抱きすくめるのだ、「この山越えて、祖父さまのとこへ逃げて行こうか?」